上機嫌な言葉366日(田辺聖子 著)

田辺聖子の「上機嫌な言葉・366日」を買ったのは夏の暑い日だった。田辺聖子の小説はいろいろ読んだ。目が悪くなってテレビやパソコンを見るのは辛かった。まして細かい字で埋めつくされた文庫本を読むことはもっと辛かった。そんなある日、紀伊国屋書店で「上機嫌な言葉・366日」を見つけた。まず、この本が気に入った理由は366日という数字である。1年は365日。うるう年は366日である。普通なら一年365日とするであるところを366日としているところに惹かれた。一日一日を大切に過ごしてこられた田辺聖子さんだから言えることだと解釈した。本の帯に「人生で人間の上機嫌はいちばんすてきなもの」と書いている。近頃は朝食が終わって、家事をする前にその日のページを読むことにしている。急がないときは、以前に読んで、なるほどと思ったところをもう一度読むこともある。含蓄のある話に田辺聖子さんの作家としての偉大さを感じ、そうしてこの本に出会った喜びがふつふつと湧いてくる。